トップページ > まじまじ通信2019/7月号

2010年9月から、最近の医療情報や病気の事、子育ての事、連携している児童発達支援施設「厚木なのはな」からの情報などを掲載した院内誌を発行しています。

2019年7月号(No.105)

医の歳時記 7月 ~学会報告~
「思春期女子アスリートの無月経と骨粗鬆症」

6月8日小児科医会総会フォーラムへ参加しました。そこから、「思春期女子アスリートの無月経と骨粗鬆症」について学んできましたので、お伝えします。アスリートとは、オリンピックや国際競技に参加する選手だけでなく、中学校の部活動などで大会に参加する人も含まれます。

<女性アスリートの三主徴>
スポーツは本来体によいものといわれますが、過度なスポーツは様々な弊害を起こします。近年、男女を問わずスポーツによる健康障害の最大の原因として注目されているのが「low energy availavility」(利用可能エネルギー不足)」です。スポーツトレーニングは相当のエネルギー消費があります。体調を崩すことなくトレーニングを進めていくには、それに応じたエネルギー摂取が必要なのは自明なのですが、不適切な食事制限が行われることが多く、そのために、免疫、発育、血液(貧血を含む)、内分泌、代謝、そして精神面など、様々な悪影響を及ぼします。

女性の場合は特に、過度なスポーツが初経発来遅延や無月経の原因となることがわかってきました。この場合の無月経は、排卵に伴う女性ホルモン分泌が停止してしまうことが問題となります。女性ホルモンの中でもエストロゲンには骨を丈夫にする作用があるため、骨粗鬆症を引き起こしてしまいます。この「エネルギー不足」「無月経」「骨粗鬆症」のことを「女性アスリートの三主徴」と呼び、体重が軽いことが有利とされる審美系の競技(器械体操、新体操など)や、陸上長距離などで起こりやすいことが知られています。なお、以前は「摂食障害」とされていましたが、2007年以降、摂食障害の有無を問わず「エネルギー不足」と改められました。

骨密度は、本来、男女とも18歳頃にピークとなり、その後は徐々に低下します。女性の場合、閉経後はさらに急激に低下し、骨粗鬆症を起こしやすいことが知られています。10代から栄養不足に加え無月経(低エストロゲン状態)が続くと、最大骨量が十分に得られないことが予想されます。その状態で過度のトレーニングを行うことは、疲労骨折を引き起こし、選手生命どころか、引退後の健康にまで悪影響を及ぼすことが懸念されます。なお、アスリートの疲労骨折の好発年齢は16歳というデータがあり、最大骨量を獲得する前に骨に過剰な負荷をかけることのリスクを認識しなければなりません。

<予防と治療>
月経は女性の健康のバロメーターとも言えます。10歳前後から競技を始めた場合、初経がきているか、その後の月経は順調にきているか、保護者や指導者が把握することが大切です。

15歳になっても初経を迎えない場合は、上記の運動性のもの以外に、染色体異常や子宮・膣欠損などの異常も考慮しなければなりません。また、初経を迎えた後、長期の無月経を放置することは、上記のように骨への悪影響を及ぼすほか、治療抵抗性が高まることが知られています。3ヶ月以上無月経は放置しないことが大切です。これらの場合は産婦人科受診をおすすめします。

産婦人科での診察(ホルモン検査や超音波検査など)の結果、低体重や体重減少による低エストロゲン状態と判断された場合、まずは適切な体重まで回復させることが望まれます、アメリカスポーツ医学学会では、適正体重に戻しても1年以上無月経が続く時にはホルモン補充療法を考慮する、としています。

過度な食事制限は、低体重を招くばかりか、摂食障害を引き起こし、いったん摂食障害が起これば回復には数年単位の時間がかかるのが普通です。まずは運動量に見合った栄養補給も重要なトレーニングの一つであること、不要な食事制限をしないことを心掛けなければなりません。
■公益財団法人 日本学校保健会サイト 特集「なぜ、なに、どうして?学校保健」 第3回「気になる成長期の子どものスポーツに関わる障害やけが」より引用

<最後に>
女性アスリートの三主徴というと、大きな大会に参加している人の事と思いがちですが、冒頭に書いたように部活動などで大会に参加する人でも起こります。無月経が長く続くと、将来不妊につながるおそれがあり、エネルギー不足による低体重や無月経に伴う低エストロゲン状態は、若い人でも骨量減少や骨粗鬆症のリスクが高くなると考えられています。思春期女子は、11~14歳に骨密度の年間増加率が最も大きく、20歳頃に骨量のピークを迎えるため、思春期の骨形成時に十分なカルシウムの摂取、適切な運動負荷、順調な月経(正常なエストロゲンの分泌)があれば高い最大骨量を獲得する事ができます。多くのアスリートが競技生活を送る思春期から20代において月経異常などにより骨量が低下する事は、将来の骨の健康にまで影響を及ぼしかねません。今のところ、思春期の骨粗鬆症に対する治療はない、と言われています。

予防は体重を減らし過ぎないようにする事で、思春期は標準体重の85%以下、BMI 17.5以下がエネルギー不足と考えられます。その場合は、エネルギー不足の改善を行う事で、食事量を増やす事や運動量を減らす事が必要です。体重が増えない、3ヶ月以上無月経が続く場合や、15歳になっても初経を迎えない時は、早期の受診をお勧めします。

(馬嶋)

(参考・引用文献)
■日本産科婦人科学会雑誌 68巻「若年女性のスポーツ障害の解析」より 
■日本スポーツ振興センター 「女性アスリートの三主徴」より
■日本小児科医会 「思春期女性アスリートの無月経と骨粗鬆症」 (東京大学医学部附属病院女性診療科・産科 能瀬さやか)より

厚木なのはなより:ペアレントトレーニング講座のお知らせ

第5回なのはなペアレントトレーニング講座を只今、開催中です。
お子さんの様々な行動にどのように対応していけばよいのか?ふさわしい声のかけ方は?などを考え、家庭で実践できるようにしていきます。また、グループの保護者同士で子育てに関する不安や悩みを共有することもできます。

お子さんとのよりよい親子関係を築いていけるよう、この講座への皆さまの参加をスタッフ一同お待ちしております。

次回のペアレントトレーニング講座は10月より開催予定としております。詳細が決まり次第、お知らせ致します。

(厚木なのはな 宇佐美)

今月の便り ~7月・文月~

7月。夏野菜です。
トマト、茄子、ピーマン、枝豆、トウコロコシ。どれもこれも瑞々しくて美味。

トマトは、そのままサラダにする事が多いのですが、休みの日などはモッツァレラチーズとバジルを載せてカプレーゼに。完熟トマトがあったら、バジルを混ぜてブルスケッタに。フランスパンに載せると美味しいです。茄子は、唐辛子と共に煮浸しにして常備菜に。他にも、しぎ焼き、みそ汁、グラタン、天ぷら、麻婆茄子、グリーンカレーに入れて、と変幻自在。

ピーマンは、ピーマン沢山の青椒肉絲。他に、カレーピラフに入れたり、ピーマンのお浸しに。枝豆は、茹でて。塩でもんで、さっとゆでて熱い枝豆をざるに載せて。若い頃、新潟の親戚の家で、枝豆の美味しい茹で方を教わりました。茹でている時の、枝豆の香りも好きです。

トウモロコシも、塩茹でに。朝一番で農協に行って、すぐ茹でるのでその日は大忙し。トウモロコシもざるに載せて。口にトウモロコシの甘さが広がります。竹のざるも大好きです。

(馬嶋)



編集後記

7月になり、そろそろ夏本番です。
「今月の便り」では、先生が夏に美味しい野菜の数々を紹介されましたが、先生が作る野菜料理のメニューの豊富さにはいつも感心してしまいます!紙面掲載のため、先生撮影の野菜やお料理の画像で編集作業をしたのはお昼前。どれも美味しそうでお腹が鳴りました。先生が挙げられた夏野菜は私も大好きなので、この時期ならではの味を楽しみたいと思います。先生のレパートリーには遠く及びませんが(笑)

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